【民営化30年】JR本州3社と他4社の「巨大格差」はなぜ生まれたか

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4月1日はJR30歳の誕生日です。
国鉄が崩壊し、代わって発足したJR7社は自律的な経営へ転じ、利益追求主義へかじをきりました。
それから30年、7社の明暗はくっきり分かれ、負け組企業には存続の危機が迫っています。分割民営化の「ひずみ」が今、浮き彫りになっています。

「今までも、そしてこれからも東京-大阪間の大動脈の輸送を守ることが、われわれの最大の使命である」
 柘植康英・JR東海社長は、そう力強く宣言する。民営化から30年。この間にグループの中で一番の利益成長を果たし、勝ち組に躍り出たのが、JR東海だろう。
 JR東海の運輸収入に占める東海道新幹線の構成比は9割。新幹線一本に経営資源を集中投下し、年間約6000億円もの営業キャッシュフローを生み出す。そして、今度は自前で総工費9兆円に及ぶリニア中央新幹線を建設する。これほどまで機動的な設備投資が実現できるのも、JR東海が完全民営化を果たしたからに他ならない。
 発足当初は、引き継いだ資産規模から、長男のJR東日本次男坊のJR西日本に続く、“三男坊”扱いだったが、今や経常利益でJR東日本をしのぐ。売上高営業利益率は約30%と、通常の鉄道会社では卓越した収益力を誇る。JR東海の成功ストーリーは、分割民営化の「光」の部分である。
 国鉄からJRへ。経営指標に関わる数字だけを見れば、国鉄の分割民営化は大成功である。
六つの指標、すなわち売上高、単年度損益、負債、国家財政への寄与、余剰人員の削減、労働生産性で比較したところ、全ての経営指標で著しい改善傾向が見られる。
 単年度損益では、国鉄末期には経常損失1.8兆円だったが、2015年度JR7社合計では経常黒字1.1兆円と2.9兆円も改善している。同様に、負債金額は37.1兆円から6.5兆円に激減した。
 興味深いのは、国家財政への寄与度。かつては毎年約6000億円ずつ補助金をもらっていたが、最近では逆に、約4100億円を納税するまでになった。
 ところが、六つの経営指標をJR7社別の内訳で見ると、また違った実態が見えてくる。
端的に言えば、「本州三社(JR東日本JR東海JR西日本)」とそれ以外の四社、すなわち「三島会社(JR北海道、JR四国、JR九州)+JR貨物」とで明暗がくっきりと分かれている。
 例えば、経常利益1.1兆円のうち、実に96%は本州三社で占められている。
 本州三社とそれ以外の四社の明暗を分けた理由には、もちろん30年間の経営力も含まれるのだが、それ以前の前提条件にもあった。

 ざっくり言えば、国鉄から譲り受けた「営業基盤」とその後の「金利環境の変化」である。
 まずは営業基盤についてだ。JR7社の発足時点の営業係数(100の収入を得るのに幾らコストが掛かるのかという目安)を見ると、本州三社の131に対して、JR北海道437、JR四国、JR九州、JR貨物405だ。本州三社も赤字ではあるが、
新幹線と東京・大阪といった巨大マーケットを持っており収益化できそうなレベルだ。一方で、他の4社についてはコストが収入の3倍以上。黒字化を望むのは無理筋だ。
次に、金利環境の変化についてである。
 稼ぐ営業基盤が与えられた本州三社は、売上高の4~5倍に匹敵する借金を背負わされた。例えばJR東日本でいえば、売上高1.6兆円に対して、6.6兆円の負債を背負わされた。
 一方、赤字路線ばかりの不利な営業基盤を押し付けられた三島会社には、国からの“持参金”として、それぞれ数千億円の経営安定基金が与えられた。その基金の運用益で本業の赤字を補填するように配慮されたのだ。
 ところが、30年前の政府の想定は大きく狂った。分割民営化時の金利は年7~8%だったが、今や低金利時代である。
 巨額の借金を背負わされたはずの本州3社は、どんどん借金を返済することができた。逆に、経営安定基金の運用益に依存する三島会社にとって、低金利は向かい風以外の何物でもなかった。
 結果として、本州3社は優良な営業基盤で稼ぎまくり、借金も速やかに返済し、劇的に財務体質が改善した。悲惨なのは、三島会社だ。稼ぐ武器を持たされることもなく、持参金も目減りするばかり。JR貨物は別の財務問題を抱えている。JR7社の体力格差は広がる一方である。
 JRグループが発足して30年。ここにきて、分割民営化の「光」よりも「影」の部分が目立つようになってきた。

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